無表情なコウモリは繊細カメレオン

説明などない。裏も表も縫い目は縫い目。

うさぎを飼ってたかもしれないお話。

子供の頃、庭でニワトリを飼っていました(食用と、たまご取る用)。

祖母がいつの間にかヒヨコを連れてきたり、どこかで大人のニワトリを貰ってきたりして、常にたくさんのニワトリがコッココッコ言って柵内を駆け回っていました。

知らない方もいるかもしれないですが、ニワトリは笑います。人間のような声で、「クワッハッハハ!カッカッカッカ!ヒョー!」と笑います。

何か皆で面白い話でもしているのか、突然ドッと沸くように笑ったりします。

私は、自分が笑われているようでそれがとてもイヤでした。あの人間の子供は滑稽だぜ、見てみろよ!と言われているに違いないと思いました。

 

ある日学校から帰ると、ニワトリの柵の中に茶色いウサギが一羽いました。

ウサギは圧倒的多数のニワトリが怖いのか、ジッとうずくまって動きませんでした。

私は祖母に、あのウサギはどうしたのと訊きましたが、祖母はウサギがいることに気が付いていなかったらしく、

「どこかから迷い込んで来たんやろ。穴掘られたらたまらんから柵から出して外に逃がしてきて。」

と言われて、怖かったけどちゃんと言われた通りにウサギだけ外に逃がすことに成功しました。

 

ウサギはその時は逃げていきましたが、次の日、また庭に現れました。

毎日うちの庭を駆け回りにくるウサギのことを、私は自分の家のウサギだと思うようになりました。

 

ウサギがお腹を空かせていてはいけないので、ニワトリにあげる野菜を分け与えました。コマツナを食べていました。

 

ウサギは祖母の言う通り、そこらじゅうに穴を掘りました。畑の野菜も勝手に食べました。

祖母はある日、「ウサギに困らされてるから、あれを食べようか」と言いました。

 

私はびっくりして、あのウサギはペットでしょう?食べてはイヤ!!と抗議しました。

祖母は、あんたのウサギならあんたが責任もってなんとかしなさい、と言いました。

 

私がどうしようか困っているのをよそに、勝手にやってきたウサギは、祖母の食べようか発言が聞こえていたのか、うちの庭に来るのを勝手にやめました。

 

 

自由なウサギを、よく楽しそうに笑うけど決して逃げられない食用のニワトリたちはどんな感情でみていたのでしょう。

 

 

おわり。